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耳の奇形には、放置しておいても全く問題のないものから悪影響を及ぼすものまでさまざまなものがあります。 その中でも、何らかの悪影響が及ぼされる可能性の高い奇形に【小耳症】というものがあります。 小耳症は、どういった病気なのでしょうか。
1.小耳症とは
2.小耳症の患者数
3.耳の構造と名称
4.音と聞こえの仕組み
5.小耳症の種類
6.小耳症以外の奇形
7.小耳症に伴う症状
8.小耳症の合併症
9.小耳症の原因
10.小耳症かな?と思ったら
11.小耳症でおこなわれる聴力の治療法
12.小耳症耳介形成手術
13.小耳症のまとめ
小耳症とはその名の通り、『耳が小さい症状』『耳の形が一般的ではない症状』を指します。耳が小さいと言いましても、さまざまな症状があります。
一般の方が、『耳の形が人と違う』と聞いてまず思い浮かぶのは、赤ちゃんの際の向きグセによって尖ったりへこんだりしている耳でしょうか。いくら逆の方向を向かせても、一方に偏ってしまうためドーナツ型の枕などを使用しますね。
しかし【小耳症】の発症は、先天性な奇形によるものです。いわば、生まれつきの症状です。そして耳の外観が損なわれているだけではなく、耳が塞がっていたり5つのレベルに分けられています。
また、左耳よりも右耳の発症率が高いと言われており、必ずしも両耳に発症すると限ったわけではありません。
小耳症の患者数は、6000人〜20,000人に1人という確率だと言われています。
各施設や大学が公表しているデータをご紹介します。
さらに6000人に1人の割合と考えて、世界の人口85億人を基準とすれば、毎年700人の小耳症の方が生まれている計算になります。小耳症で生まれる確率が低いとはいえ、人数の多さに驚きますね。(参考:acrejuvenation.blog71.fc2.com)
私たちは普段何も意識することなく、音を聞いていますが、耳の構造はいったいどうなっているのでしょうか。
耳は、大きく分けて以下の3つの器官に分類されています。
耳輪や耳介結節などの総称は耳介(耳殻)と言います。
耳介は、音を集める役割を担っています。
聞き取りにくい際に、耳介に沿うように手のひらで音を拾う動作をしますね。
意味がないかと思いきや、音を聞き取りやすくするためにあるのです。
空気の振動である音を拾う箇所である外耳がなければ、当然音が聞き取りにくくなります。
猫などの動物は耳介を自由に動かして、音を聞き取りやすくしています。
人間は手足が自由に使えるようになったことから、耳介の動きが退化したのかも知れませんね。
そして外耳から外耳道を通り、中耳に通じています。
わかりやすく言えば、耳掃除をする箇所が外耳道ですね。
外耳道の外側の3分の1は耳介と同様で軟骨で形成され、奥側の3分の2は骨で形成されています。耳介は軟骨と皮膚でできていますが、耳垂は皆さんご存知の通り軟骨はありません。
鼓膜同様この3つの骨は、音を伝えるための重要な役割を担っています。
さらに奥へ進むと、鼓膜の奥には鼓室(こしつ)という空洞の部屋になっています。
そして、中耳は鼻の奥とつながっている箇所でもあります。
かたつむりは蝸牛と書き、形状が似ていることからその名がつけられています。
三半規管は、よく聞く名称でしょう。
三半規管が乱れると、揺れを感じやすくなるので乗り物酔いをしやすくなったり、めまいが生じることもあります。メニエール病は三半規管の乱れにより生じる病です。
三半規管含む前庭は、バランス感覚を司っている器官です。
ちなみに三半規管を鍛えるためには、回転したり頭を振ったり、目を閉じて歩くと良いと言われています。
続けて耳が音を聞く仕組みは、どのようになっているのでしょうか。
ご存知だと思いますが、音は空気の振動です。
幼少期に糸電話で遊んだ経験はあるでしょうか。糸電話を想像すれば振動が音となって聞こえることは、わかっていただけるかと思います。
よく風の音と言いますが、厳密に言えば風に音はありません。
物体があることにより、空気が割れて渦を巻き、振動しているから聞こえているだけ。電線や木々や家などの物体がなければ、音は聞こえないのです。
音が聞こえる仕組みは、2つに分類されます。
・伝音系:音の振動を伝える働き
・感音系:音の周波数を電気信号に変える働き
外耳と中耳の働きは『伝音系』、内耳の働きは『感音系』となっています。
耳の病気で、難聴はよく聞くかと思いますが、伝音難聴と感音難聴に分けられています。
もっとも名称が聞かれる突発性難聴は、内耳の感音性難聴にあたります。
音が聞こえる仕組みをまとめますと、以下のような流れになります。
ただ単純に音を聞いているだけのような気がしますが、音が聞こえるまでには、多くの過程があり多くの器官の働きによるものなのです。
一言で小耳症とは言っても、さまざまな症状があります。小耳症は、大きく分けて5つに分類されます。
ここで、小耳症以外の軽度の奇形をご紹介します。
・副耳(ふくじ)
・耳介奇形(じかいきけい)
・耳垂裂(じすいれつ)
・耳瘻孔(じろうこう)
小耳症によって伴う症状は、音が聴こえない・聴こえづらいという点です。 小耳症は、多くの場合耳の外観だけではなく外耳道が狭くなっていたり、聴こえづらい症状を引き起こします。
また、耳の穴が塞がった『外耳道閉鎖症』の場合は、音の伝達をすることができず非常に聴こえにくい状態です。難聴と言われるものですね。 幼い頃に小耳症の外観の手術を行なった方であっても、耳が聴こえづらいと多くの不便が発生します。
そして難聴というだけではなく、『障害』というレッテルを強いられてしまうことです。いくら低い確率だとはいえ、世の中には小耳症で苦しんでいらっしゃる方が多く存在しています。
『耳なし』と誹謗中傷をする心ない人もいて、親御さんにとっては大変お辛いでしょう。 また第W度小耳症では、耳だけでなく顔の骨の発育にも影響が及ぼされている場合もあります。
多く見られる症状は、表情を作る顔の神経の動きが鈍いために起こる左右非対称の症状です。一般的には大体左右対称に見える顔ですが、眉や口角など一方だけ下がってしまったり、ひどい場合になると目を閉じることができないケースもあります。
それが、小耳症の合併症です。
小耳症は、その他の先天性の病気と合併する可能性を持っています。
・顔面神経麻痺
・口蓋裂(こうがいれつ)
・小顎症(しょうがくしょう)
・頬骨低形成
・咀嚼嚥下障害(そしゃくえんげしょうがい)
小耳症になってしまう原因は、未だ明らかにされていません。
しかし、母体で育つ期間に何らかの影響が及ぼされていると考えられています。遺伝性要素はないのだとか。
赤ちゃんの耳をはじめ顔や首になる部分は、えらの塊のようなものが多数でき、それらが発達して形成されていきます。5週〜6週頃には、小丘と言われる小さい隆起が集まり、7週になると耳の形が作られます。
耳から口にかけての骨は、第一鰓弓(さいきゅう)・第二鰓弓と言います。この2つからさまざまな耳の箇所が形成されます。
耳介の軟骨が作られるのは7週頃で、10週頃になるとほとんど成人の耳と同じ形となります。そして、胎生の4ケ月を経過する頃には、耳の形が完成します。
先天的である小耳症を引き起こしているのは、耳を形成している関連性のある器官が、軽度の影響を受けているか重度な影響を受けていると考えられます。
耳の形成は、複雑な過程を経ているため、先天的に最も異常が表れやすい場所とも言えます。軽度の耳介奇形の人が多いのはそのためでしょう。
赤ちゃんにとって、妊娠4週目から7週目までは、成長の過程として大変大切な時期です。妊婦が、医師の判断なしに薬の服用をしてはいけないのは、誰もがご存知でしょう。
また耳が形成されてからも外耳道などの形成は続き、7ケ月頃までは大切な時期とも言えるのです。それまでに発育が抑制されてしまうと、耳の形が正常であっても耳の穴がない外耳道閉鎖症になってしまうことも考えられます。
重度の小耳症の場合、耳介の異常だけではなく外耳道閉鎖症も併さっているため、7ケ月頃まで何らかの原因で、発育が抑制されていたとも言われています。
小耳症かなと心配になった場合、耳介の欠損や変形だけか、外耳道にも問題があるかどうかを調べる必要がありますので、まず耳鼻科での聴力検査が必要になります。
ただし小耳症は、ごく一般的な耳鼻科では診察経験もなくわからない場合が多いので、大学病院やできるだけ大きな耳鼻科で診てもらわなければ、検査の機器も備わっていません。
中には、小耳症の患者さんを多く診られている病院や、小耳症専門医もありますので、口コミなどを調べてみるのも良いですね。
通常は出産時に、新生児聴覚スクリーニング検査(OAE)を受けますが、異常が出た場合再検査として、病院を紹介してくれるでしょう。
ただ万が一異常と診断されなかった場合は、この限りではありません。
赤ちゃんの時には気づかずに、成長するにしたがって耳の聞こえが悪いことに気づく場合もあります。
こういった場合には、小耳症を疑いできるだけ早く受診して下さい。
一般的な聴力検査は、聴性脳幹反応検査(ABR)や、条件詮索反応聴力検査(COR)が代表的です。
ABRでは、赤ちゃんの場合睡眠時に音を聞かせ、脳派の変化を調べる検査です。
聴力に問題がないとわかればまずは一安心ですし、問題があったにしても大学病院で診てもらえば、そのまま引き継いで違う科を紹介してもらえるので安心ですね。
小耳症でおこなわれる治療は、外観だけなのか・外耳道に問題があるだけなのかによっても違ってきます。耳の欠損と外耳道閉鎖症の両方の場合は、当然両面からの治療が必要になります。
しかし残念ながら、どちらの場合の小耳症でも手術する以外に治療方法はありません。大学病院では、聴力を回復させるための手術、耳の外観の手術どちらも行なってもらえる可能性が高いことが、大学病院の受診をおすすめする理由です。
小耳症による耳介形成手術は、古代インドの耳垂修復が最古と言われています。
その後20世紀に入り、金属や象牙が使われたり、シリコンが使用されていたこともありました。 母親の耳介軟骨を使用したという例もあります。
母親なら、いくつもの場所を切除させたくはないと願うでしょう。しかし、自分以外の組織では移植しても生着せず、1959年にTanzerによって発表された本人の肋軟骨が使われるようになりました。
小耳症の症状の違いや、病院によっては多少差がありますが、耳介形成手術はだいたい2回の手術でおこなわれます。
小耳症による聴力回復については、日々の生活に支障が生じるので、何らかの対処は必要です。しかし外観的な手術については、考え方はさまざまでしょう。
年齢があがると肋軟骨が固くなり、綺麗な耳の形のフレームが作成できないため、10歳程度には本人に決断させる必要が出てきます。
小耳症は外観的に、障害というレッテルや誹謗中傷を受けてしまう可能性もありますが、手術せずに自分のありのままを受け入れていらっしゃる方も存在します。10歳と言えばまだ決断できる年齢ではありません。
しかし、親が決めつけてしまうのではなく本人の意志を尊重できるような猶予を与えてあげるべきだと感じます。また、小耳症の手術をおこなう病院の選別も慎重に選択するべきでしょう。
安易に決めてしまうと、バランスの悪い位置や考えても見なかった外観の耳が形成されてしまい、耳の形成の作り直しをされている方も存在します。どこの大学病院でも、どこの形成外科でも同じというわけではありません。
小耳症についてわからないことがあれば、うやむやにせずわかるまで確認し、手術のやり方など全て把握するくらいの知識を持たなければなりません。
スコットランドにあるエディンバラの王立こども病院では、小耳症による新しい技術を見つけようと模索し、2014年には3D画像処理による耳介の作成をおこなっています。
また、人の脂肪から幹細胞を分離することに成功したエディンバラ大学の再生医療センターと共同研究が開始されています。精製された幹細胞は、10,000個のFDA承認を受けた高分子に対して検査が行われ、高分子表面で軟骨を生成するよう細胞に働きかけることができるようになっています。
この研究が成功すれば、肋軟骨の採取を行わずとも、耳介形成手術がおこなえるようになります。 今後小耳症に対する研究がもっと進み、少しでも多くの方の治療ができるようになることを、切に願います。
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