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小耳症かも!?耳の奇形と症状の原因や治療法について

症状の原因と治療を考察する

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耳の穴が塞がっている・耳の形小耳症とは

小耳症かも!?耳の奇形と症状、原因や治療法について
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耳の奇形には、放置しておいても全く問題のないものから悪影響を及ぼすものまでさまざまなものがあります。 その中でも、何らかの悪影響が及ぼされる可能性の高い奇形に【小耳症】というものがあります。 小耳症は、どういった病気なのでしょうか。


この記事の目次

1.小耳症とは
2.小耳症の患者数
3.耳の構造と名称
4.音と聞こえの仕組み
5.小耳症の種類
6.小耳症以外の奇形
7.小耳症に伴う症状
8.小耳症の合併症
9.小耳症の原因
10.小耳症かな?と思ったら
11.小耳症でおこなわれる聴力の治療法
12.小耳症耳介形成手術
13.小耳症のまとめ


1.小耳症とは

小耳症とはその名の通り、『耳が小さい症状』『耳の形が一般的ではない症状』を指します。耳が小さいと言いましても、さまざまな症状があります。

一般の方が、『耳の形が人と違う』と聞いてまず思い浮かぶのは、赤ちゃんの際の向きグセによって尖ったりへこんだりしている耳でしょうか。いくら逆の方向を向かせても、一方に偏ってしまうためドーナツ型の枕などを使用しますね。

しかし【小耳症】の発症は、先天性な奇形によるものです。いわば、生まれつきの症状です。そして耳の外観が損なわれているだけではなく、耳が塞がっていたり5つのレベルに分けられています。

また、左耳よりも右耳の発症率が高いと言われており、必ずしも両耳に発症すると限ったわけではありません。


2.小耳症の患者数

小耳症の患者数は、6000人〜20,000人に1人という確率だと言われています。
各施設や大学が公表しているデータをご紹介します。

群馬大学耳鼻咽喉科
昭和53年〜平成元年5月までの間に先天性小耳症患者は99名であることを報告(参考:www.jstage.jst.go.jp
愛知県にある大雄会
平成27年度小耳症・耳介異常・外耳道閉鎖による手術人数は、40人。平均年齢は17.33歳と発表(参考:www.daiyukai.or.jp
東京の国立成育医療研究センター
平成27年度小耳症・耳介異常・外耳道閉鎖による手術人数は23人。平均年齢は10.78歳と発表(参考:www.ncchd.go.jp
仙台医療センター
平成27年度小耳症・耳介異常・外耳道閉鎖の治療11人。平均年齢は11歳と発表(参考:www.snh.go.jp
札幌医科大学
年間120〜130件ほどの小耳症の手術を手がけていると公表しています。(参考:web.sapmed.ac.jp

さらに6000人に1人の割合と考えて、世界の人口85億人を基準とすれば、毎年700人の小耳症の方が生まれている計算になります。小耳症で生まれる確率が低いとはいえ、人数の多さに驚きますね。(参考:acrejuvenation.blog71.fc2.com


3.耳の構造と名称

私たちは普段何も意識することなく、音を聞いていますが、耳の構造はいったいどうなっているのでしょうか。
耳は、大きく分けて以下の3つの器官に分類されています。

  • 外耳

    外耳は、耳の外側の箇所全体を指します。外耳の各場所には、それぞれの名称がつけられています。

耳輪
(じりん):耳の外側の丸くなっている箇所
舟状窩
(しゅうじょうか):耳の外側の溝
耳介結節
(じかいけっせつ):耳の外側の折れ曲がっている箇所
耳甲介艇
(じこうかいてい):耳輪と耳輪脚との間のくぼみ
耳甲介腔
(じこうかいくう):耳輪脚から耳珠付近までのくぼみ
三角窩
(さんかくか):耳輪の下の三角形のくぼみ
耳輪脚
(じりんきゃく):三角窩の下、内側の軟骨の部分
耳珠
(じしゅ):耳の穴の耳たぶ側にある出っぱり
耳垂
(じすい):耳たぶ

耳輪や耳介結節などの総称は耳介(耳殻)と言います。
耳介は、音を集める役割を担っています。

聞き取りにくい際に、耳介に沿うように手のひらで音を拾う動作をしますね。
意味がないかと思いきや、音を聞き取りやすくするためにあるのです。
空気の振動である音を拾う箇所である外耳がなければ、当然音が聞き取りにくくなります。

猫などの動物は耳介を自由に動かして、音を聞き取りやすくしています。
人間は手足が自由に使えるようになったことから、耳介の動きが退化したのかも知れませんね。

そして外耳から外耳道を通り、中耳に通じています。
わかりやすく言えば、耳掃除をする箇所が外耳道ですね。

外耳道の外側の3分の1は耳介と同様で軟骨で形成され、奥側の3分の2は骨で形成されています。耳介は軟骨と皮膚でできていますが、耳垂は皆さんご存知の通り軟骨はありません。


  • 中耳

    多くの方が幼い頃、風邪を引いたりプールで耳に水が入り中耳炎になった経験をされているでしょう。中耳は、耳の内部にあたる部分です。外耳道を通り、鼓膜を含む内側とお考えください。鼓膜は3つの骨とつながっています。

    ・ツチ骨
    ・キヌタ骨
    ・アブミ骨

鼓膜同様この3つの骨は、音を伝えるための重要な役割を担っています。
さらに奥へ進むと、鼓膜の奥には鼓室(こしつ)という空洞の部屋になっています。
そして、中耳は鼻の奥とつながっている箇所でもあります。


  • 内耳

    内耳は、2つの器官から形成されています。

蝸牛
(かぎゅう):かたつむりの殻のように、渦を巻いている器官
前庭
卵形嚢(らんけいのう)・球形嚢(きゅうけいのう)・三半規管(さんはんきかん)

かたつむりは蝸牛と書き、形状が似ていることからその名がつけられています。

三半規管は、よく聞く名称でしょう。
三半規管が乱れると、揺れを感じやすくなるので乗り物酔いをしやすくなったり、めまいが生じることもあります。メニエール病は三半規管の乱れにより生じる病です。

三半規管含む前庭は、バランス感覚を司っている器官です。
ちなみに三半規管を鍛えるためには、回転したり頭を振ったり、目を閉じて歩くと良いと言われています。



4.音と聞こえの仕組み

続けて耳が音を聞く仕組みは、どのようになっているのでしょうか。
ご存知だと思いますが、音は空気の振動です。

幼少期に糸電話で遊んだ経験はあるでしょうか。糸電話を想像すれば振動が音となって聞こえることは、わかっていただけるかと思います。
よく風の音と言いますが、厳密に言えば風に音はありません。

物体があることにより、空気が割れて渦を巻き、振動しているから聞こえているだけ。電線や木々や家などの物体がなければ、音は聞こえないのです。

音が聞こえる仕組みは、2つに分類されます。

・伝音系:音の振動を伝える働き
・感音系:音の周波数を電気信号に変える働き


外耳と中耳の働きは『伝音系』、内耳の働きは『感音系』となっています。
耳の病気で、難聴はよく聞くかと思いますが、伝音難聴と感音難聴に分けられています。

もっとも名称が聞かれる突発性難聴は、内耳の感音性難聴にあたります。


外耳の働き
外耳は、耳の構造でご説明した通り、耳介(じかい)と外耳道(がいじどう)を指します。

まず耳介が、音の元となる振動を集め、外耳道へ振動が伝えられます。 外耳道はご存知の通り筒状になっていますが、音を増幅させる働きを持っています。

そして、その音波は鼓膜へ伝えられます。音を増幅させる外耳道の働きを、外耳道共鳴と言います。
中耳の働き
鼓膜へ伝えられた音の振動は、鼓膜とつながっている3つの耳小骨、ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨に伝えられます。
鼓膜からこれらの骨へ伝えられる際にも、また音波が増幅されます。

3つの骨のうち、アブミ骨は蝸牛と隣接しており、非常に重要な役割を持っています。
成人近くになると、アブミ骨の周囲が固まってしまい、耳硬化症(じこうかしょう)という伝音難聴を生じることもあります。

3つの耳小骨は、伝えられた振動を増幅し、内耳にある蝸牛へ振動を届けます。
内耳の働き
内耳にある蝸牛は、リンパ液で満たされていて、届けられた振動がそのリンパ液を揺らし波立たせます。

波立ったリンパ液が、音を認識する細胞『有毛細胞』の働きにより、電気信号に変換されます。この変換される機能が、上述しました『感音系』の働きです。

そして振動から変換された電気信号が大脳へ伝わり、音が聞こえるという流れになるのです。

音が聞こえる仕組みをまとめますと、以下のような流れになります。

  1. 耳介で集められた振動が、外耳道で増幅され、鼓膜へ伝わる
  2. 鼓膜の振動は3つの骨で増幅され、内耳にある蝸牛に伝わる
  3. 蝸牛内のリンパ液が揺らされ、有毛細胞が電気信号に変換し脳へ伝える
  4. 「音が聞こえる」と、認知・認識する

ただ単純に音を聞いているだけのような気がしますが、音が聞こえるまでには、多くの過程があり多くの器官の働きによるものなのです。



5.小耳症の種類

一言で小耳症とは言っても、さまざまな症状があります。小耳症は、大きく分けて5つに分類されます。

【第T度小耳症】
耳の正常な形が残っている
【第U度小耳症】
耳の形が一部分残っている
【第V度小耳症】
耳の皮膚や軟骨があるが、耳の形を成していない
【第W度小耳症】
耳の穴がなかったり、顔の骨まで欠損している
【第V度小耳症】
無耳症
  • 第T度小耳症

    第T度小耳症は、わずかに耳介が小さく一見ごく普通の耳の形をしているケースです。そして、耳介のひだがない方を見ることがよくあるように、耳介が若干小さくても、見た目だけでは小耳症だと気づかないこともあります。

    第T度小耳症では、聴力にはほぼ問題がないと言われています。ただし、外耳道が狭くなっていたり塞がっていると、聴こえづらいといった症状が起こります。耳介が、折れ耳やカップ状になっている場合もこれに含まれます。
  • 第U度小耳症

    第U度小耳症は、耳珠と耳垂はほぼ通常の形で形成されているが、耳介の大きさや形状に違いがあるケースです。
    軟骨を含む耳介が残存していることから、『耳甲介残存型』とも呼ばれています。
  • 第V度小耳症

    第V度小耳症は、耳垂とその上の部分に皮膚と軟骨が若干残っているだけの状態で、耳の形を成していないケースです。
    小耳症の中でもっとも数が多いと言われており、ピーナツ型小耳症又はソーセージ型小耳症とも言われています。
  • 第W度小耳症

    第W度小耳症は、耳垂の突起だけがある状態が多く、その他耳介などは全く見られないケースです。小耳症の中でも、顔の骨までも欠損していたり、外耳道奇形の重度の傾向であるとされています。
  • 第V度小耳症

    第V度小耳症は無耳症と言われ、耳の穴含め耳自体がない状態を指します。
    無耳症では、さまざまな先天性の合併症を伴う場合が多いと言われています。


6.小耳症以外の奇形

ここで、小耳症以外の軽度の奇形をご紹介します。

・副耳(ふくじ)
・耳介奇形(じかいきけい)
・耳垂裂(じすいれつ)
・耳瘻孔(じろうこう)


副耳
副耳は、耳の穴の手前に小さなイボのようなものがある状態を指します。およそ1000人中15人程度の先天性の奇形だと言われています。

副耳は皮膚からできた柔らかいイボと、軟骨からできた硬いイボがあります。外耳にあるだけでなく顔や首などにも複数個できるケースもありますが、イボだけがあるだけで何の問題もない場合も多くあります。

まれに根っこの部分に湿疹ができやすくなったりすることはありますが、そこまで多大な悪影響を及ぼすわけではないので、切除しない方も多く病気と言っても心配はいりません。
耳垂裂
耳垂裂は、耳垂が分裂している状態を指します。 耳たぶが縦や横に分かれてしまっている状態で、「耳切れ」「切れ耳」とも言われています。

こちらも副耳同様、小耳症と合併していない限り、特に心配はいりません。先天性の耳垂裂もありますが、ピアスが何かに引っかかり、耳垂裂を起こしてしまうケースも増加しています。
耳介奇形
耳介奇形は、耳介の形が先天的に健全な形ではない状態を指します。ですが中でも、埋没耳や折れ耳・カップ耳・立ち耳・貝がら耳などは、ごく一般的にもみられることがありますね。

多くの場合が耳介の形状が少し違うだけで心配はいりません。耳介が丸くなっておらず、平坦になっているスタール耳もよく見られます。奇形とはいえ、さほど支障はありません。

埋没耳の場合、メガネやマスクの装着が困難であるため、不便が生じるケースも見られますが、幼少期なら器具での矯正も可能です。

耳介は生まれた直後から、約1年の間に変化します。生まれたばかりの赤ちゃんの6割が、耳の形がおかしいと感じる場合がありますが、そのうちの7割は正常な耳になると言われています。

ですから、耳の軽度な奇形は早ければ早いほど、治療しやすくなると言っても良いでしょう。
耳瘻孔
耳瘻孔は、生まれつき耳に針穴程度の穴が空いている症状のことを指します。多くが耳の上部に空いており、先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)と言い、生まれつきの症状です。

耳瘻孔は、100人に1人に出る症状とも言われており、身近な方でも見かけたことがあるのではないでしょうか。

特に心配はいりませんが、その小さな穴は外耳道に向かって通じているので、細菌に感染し化膿する場合もあります。臭いの原因にもなりますので、女性は気にする方が多いでしょう。


7.小耳症に伴う症状

小耳症によって伴う症状は、音が聴こえない・聴こえづらいという点です。 小耳症は、多くの場合耳の外観だけではなく外耳道が狭くなっていたり、聴こえづらい症状を引き起こします。

また、耳の穴が塞がった『外耳道閉鎖症』の場合は、音の伝達をすることができず非常に聴こえにくい状態です。難聴と言われるものですね。 幼い頃に小耳症の外観の手術を行なった方であっても、耳が聴こえづらいと多くの不便が発生します。

そして難聴というだけではなく、『障害』というレッテルを強いられてしまうことです。いくら低い確率だとはいえ、世の中には小耳症で苦しんでいらっしゃる方が多く存在しています。

『耳なし』と誹謗中傷をする心ない人もいて、親御さんにとっては大変お辛いでしょう。 また第W度小耳症では、耳だけでなく顔の骨の発育にも影響が及ぼされている場合もあります。

多く見られる症状は、表情を作る顔の神経の動きが鈍いために起こる左右非対称の症状です。一般的には大体左右対称に見える顔ですが、眉や口角など一方だけ下がってしまったり、ひどい場合になると目を閉じることができないケースもあります。
それが、小耳症の合併症です。



8.小耳症の合併症

小耳症は、その他の先天性の病気と合併する可能性を持っています。

・顔面神経麻痺
・口蓋裂(こうがいれつ)
・小顎症(しょうがくしょう)
・頬骨低形成
・咀嚼嚥下障害(そしゃくえんげしょうがい)


顔面神経麻痺
顔面神経麻痺とは、顔面の神経によって支配されている顔の筋肉が運動麻痺を起こす症状です。

顔面神経麻痺は、先天性ではなく突然起こる原因不明のベルの麻痺(特発性末梢性顔面神経麻痺)もありますが、小耳症と同じく先天性奇形により伴ってしまうケースも多いと言われています。

小耳症で先天性麻痺の症状を伴う例は、さまざまな論文で報告されており、対象によって差があるので、実際の合併確率は報告されていません。
口蓋裂
口蓋(こうがい)は、人間の口の中の上側の箇所を指します。口蓋裂は、見ただけではわからず口蓋の粘膜の下の筋肉が裂けていたり、あごの骨が断裂している顎裂(がくれつ)も含まれます。

口蓋裂は、日本人では約500人の出産に1人の割合と言われています。 小耳症と同じ先天性異常ですが、小耳症よりも多い確率です。
小顎症
小顎症は、生まれつき下あごの成長が悪く、上あごに対して下あごが後退している状態です。小顎症は、見た目だけの偏見を呼ぶだけではありません。

舌の根元が喉の奥に落ち込むため、空気の通り道が狭くなり、いびきや寝ている際に無呼吸症状を起こす場合もあります。

重度の場合は、気管を切開したり、乳児ではミルクがうまく飲みこめないためチューブで栄養を与えなくてはならない場合もあります。

片側だけの小耳症では、片側だけの小顎症を合併する場合もあり、外観は顔の左右非対称より一層ひどくなることも考えられます。
頬骨低形成
頬骨低形成は、頬骨が異常に低かったり歪んでしまう状態を指し、小耳症と同じく先天性の奇形です。

頬骨低形成は、小耳症との合併だけでなく、遺伝子の突然変異であるトリーチャー・コリンズ症候群である場合も考えられます。

トリーチャー・コリンズ症候群は、頬骨だけでなく小顎症(下あご骨の形成不全)や下眼瞼の亀裂や欠損、下まつげ欠損、頬まで毛髪が生える毛髪位異常などの症状が主であり、10,000人に1人の発症率であると言われています。
咀嚼嚥下障害
咀嚼嚥下障害は、食べ物を噛む『咀嚼』、食べ物を飲み込む『嚥下』に影響を及ぼす障害です。

咀嚼嚥下障害が起こると、食べ物を飲み込めないため栄養低下や、気道へ入り嚥下性肺炎までをも起こしてしまう原因となってしまいます。

小耳症は、口から耳にかけての骨の形成が発育不全を起こしていると考えられているので、飲み込む際に使われる気管にまで影響を及ぼしていると言われています。


9.小耳症の原因

小耳症になってしまう原因は、未だ明らかにされていません。
しかし、母体で育つ期間に何らかの影響が及ぼされていると考えられています。遺伝性要素はないのだとか。

赤ちゃんの耳をはじめ顔や首になる部分は、えらの塊のようなものが多数でき、それらが発達して形成されていきます。5週〜6週頃には、小丘と言われる小さい隆起が集まり、7週になると耳の形が作られます。

耳から口にかけての骨は、第一鰓弓(さいきゅう)・第二鰓弓と言います。この2つからさまざまな耳の箇所が形成されます。


【第1鰓弓】
耳輪脚、耳珠、耳甲介、ツチ骨、キヌタ骨
【第2鰓弓】
耳輪、対耳輪、舟状窩、対耳珠、耳垂、アブミ骨

耳介の軟骨が作られるのは7週頃で、10週頃になるとほとんど成人の耳と同じ形となります。そして、胎生の4ケ月を経過する頃には、耳の形が完成します。

先天的である小耳症を引き起こしているのは、耳を形成している関連性のある器官が、軽度の影響を受けているか重度な影響を受けていると考えられます。

耳の形成は、複雑な過程を経ているため、先天的に最も異常が表れやすい場所とも言えます。軽度の耳介奇形の人が多いのはそのためでしょう。

赤ちゃんにとって、妊娠4週目から7週目までは、成長の過程として大変大切な時期です。妊婦が、医師の判断なしに薬の服用をしてはいけないのは、誰もがご存知でしょう。

また耳が形成されてからも外耳道などの形成は続き、7ケ月頃までは大切な時期とも言えるのです。それまでに発育が抑制されてしまうと、耳の形が正常であっても耳の穴がない外耳道閉鎖症になってしまうことも考えられます。

重度の小耳症の場合、耳介の異常だけではなく外耳道閉鎖症も併さっているため、7ケ月頃まで何らかの原因で、発育が抑制されていたとも言われています。



10.小耳症かな?と思ったら

小耳症かなと心配になった場合、耳介の欠損や変形だけか、外耳道にも問題があるかどうかを調べる必要がありますので、まず耳鼻科での聴力検査が必要になります。

ただし小耳症は、ごく一般的な耳鼻科では診察経験もなくわからない場合が多いので、大学病院やできるだけ大きな耳鼻科で診てもらわなければ、検査の機器も備わっていません。

中には、小耳症の患者さんを多く診られている病院や、小耳症専門医もありますので、口コミなどを調べてみるのも良いですね。

通常は出産時に、新生児聴覚スクリーニング検査(OAE)を受けますが、異常が出た場合再検査として、病院を紹介してくれるでしょう。

ただ万が一異常と診断されなかった場合は、この限りではありません。
赤ちゃんの時には気づかずに、成長するにしたがって耳の聞こえが悪いことに気づく場合もあります。

  • 何となく耳が欠損しているような気がする

  • 呼びかけても、聞こえている反応がない

こういった場合には、小耳症を疑いできるだけ早く受診して下さい。
一般的な聴力検査は、聴性脳幹反応検査(ABR)や、条件詮索反応聴力検査(COR)が代表的です。

ABRでは、赤ちゃんの場合睡眠時に音を聞かせ、脳派の変化を調べる検査です。
聴力に問題がないとわかればまずは一安心ですし、問題があったにしても大学病院で診てもらえば、そのまま引き継いで違う科を紹介してもらえるので安心ですね。

小耳症でおこなわれる治療は、外観だけなのか・外耳道に問題があるだけなのかによっても違ってきます。耳の欠損と外耳道閉鎖症の両方の場合は、当然両面からの治療が必要になります。

しかし残念ながら、どちらの場合の小耳症でも手術する以外に治療方法はありません。大学病院では、聴力を回復させるための手術、耳の外観の手術どちらも行なってもらえる可能性が高いことが、大学病院の受診をおすすめする理由です。



11.小耳症でおこなわれる聴力の治療法

  • 外耳道造設や鼓室形成の手術

    小耳症で、外耳道閉鎖などによって聴力に問題がある場合、外耳道造設や鼓室形成の手術が行われます。軽度の小耳症の場合は、良くなる可能性が高くなるでしょう。

    ただし、専門家医も少なく手術は大変複雑なものになります。難しい手術の上、思うほど聴力の回復が得られないことから、手術をおこなう事自体に論議がなされている状態です。片耳だけが小耳症・外耳道閉鎖の場合は、手術をおこなわない場合が多くあります。
  • 骨伝導式補聴器(BAHA)

    また別の方法としては、骨伝導式補聴器(BAHA)を埋め込む方法があります。骨伝導式補聴器(BAHA)は、頭蓋骨にチタン性のインプラントを埋め込む手術を行い、小さなBAHAシステムを装着すると、音の振動が頭蓋骨から伝わるというしくみです。

    1.手術で埋め込んだインプラントに、BAHAシステムが振動をキャッチする
    2.BAHAシステムで増幅された振動が、インプラントを介し中耳の耳小骨を震わせる
    3.骨に振動が伝わることで、内耳が振動を電気信号に変換、脳に伝え音が聞こえる


    両耳が小耳症である難聴の場合は、健康保険適応になります。しかし、18歳以上(外耳道閉鎖症は15歳以上)という条件があります。(参考:www.cochlear.com
  • 人口中耳(VSB)

    そして、人口中耳(VSB)というものもあります。こちらもBAHAと同様、頭蓋骨に聴覚インプラントを埋め込み、小さな音を拾うための小さな機器を取り付ける補聴器です。

    1.手術で埋め込んだインプラントに、オーディオプロセッサを取り付け、音を電気信号に変換する
    2.その電気信号が、埋め込まれたインプラントと皮膚を介し、中耳の耳小骨を震わせ蝸牛へ伝える
    3.脳へ運ばれ、音として認識される


    骨振動によって音を伝えるのではなく、中耳構造に機械的振動を与えるというシステムです。 小耳症の外耳道閉鎖症をはじめ、無耳症にも適しているまだ新しいシステムですので、症例数は多くありません。(参考:www.medel.com


12.小耳症耳介形成手術

小耳症による耳介形成手術は、古代インドの耳垂修復が最古と言われています。
その後20世紀に入り、金属や象牙が使われたり、シリコンが使用されていたこともありました。 母親の耳介軟骨を使用したという例もあります。

母親なら、いくつもの場所を切除させたくはないと願うでしょう。しかし、自分以外の組織では移植しても生着せず、1959年にTanzerによって発表された本人の肋軟骨が使われるようになりました。

小耳症の症状の違いや、病院によっては多少差がありますが、耳介形成手術はだいたい2回の手術でおこなわれます。


1回目:肋軟骨移植
1回目の手術では、耳介のフレームを作るために肋軟骨を摂取し埋め込みます。

1.胸の右側の肋軟骨を採取する
2.採取した肋軟骨で、耳介のフレームを作成する
3.耳介のフレームを耳の皮下に埋め込む


この時、耳垂の箇所は位置を動かしたりして、ほぼそのまま使用します。
2回目:耳介挙上
2回目の手術では、耳介の周囲を切開し軟骨下で剥離し、耳を一般的な耳介のように持ち上げます。

この時、耳介後面に移植するため、下腹部から皮膚を採取します。(あらかじめ耳のある箇所の皮膚下に、風船を入れて数ヶ月かけて皮膚を伸ばし、埋め込んだ耳のフレームを覆う手術法が使われている病院があります。)

また、1回目の手術時に余った肋軟骨は胸部の皮下に埋めておき、必要な場合は再度それを取り出して耳の後方へ移植する病院もあります。術後、2〜3年で胸とお腹の傷跡はかなり薄くなります。
  • 小耳症耳介形成手術に適した年齢

    小耳症耳介形成手術に適した年齢は、約10歳前後が妥当だと考えられています。 本来ならば人目があるので、できるだけ早くおこないたいと感じるでしょうが、いくつかの理由があります。

    ・成長により耳の位置が変わる場合がある
    ・年齢が低すぎると、大人に合わせた耳の大きさを形成するのは違和感がある
    ・年齢が低すぎると、軟骨の質や量など摂取するには不十分である
    ・10歳以上の年齢になると、肋軟骨が硬くなりすぎて、耳介のフレームが綺麗に作れない
  • ローヘアラインの小耳症の耳介形成手術

    小耳症の中にも、ローヘアラインと言われる、本来耳がある箇所にまで髪が生えている状態があります。その場合の耳介形成手術では、また別の困難が生じます。

    ・本来耳があるべき部分に耳介を形成すると、耳にまで髪が生えてしまう可能性がある
    ・髪の生えている部分を避けて耳を形成すると、正常な位置ではなく違和感が発生する


    そこで耳介形成手術の前に、レーザーでの脱毛をおこなったり、頭皮分層皮膚移植法を使ったり、さまざまな手法があります。 どういった方法で手術をおこなうのか、医師の説明を聞き確認することが大切ですね。
  • 合併症がある小耳症の耳介形成手術

    頬骨低形成や小顎症など合併症がある小耳症も、耳介を形成する手術を受ける前に、顔の骨の手術が必要な場合があります。顔の骨が適正でないと、耳を形成する場所も的確にならないからです。

    きちんとしたバランスが整わないと、耳介形成をする意味さえなくなってしまいますね。小耳症は重度であればあるほど、手術の難易度が上がると言ってもよいでしょう。


13.小耳症のまとめ

小耳症による聴力回復については、日々の生活に支障が生じるので、何らかの対処は必要です。しかし外観的な手術については、考え方はさまざまでしょう。
年齢があがると肋軟骨が固くなり、綺麗な耳の形のフレームが作成できないため、10歳程度には本人に決断させる必要が出てきます。

小耳症は外観的に、障害というレッテルや誹謗中傷を受けてしまう可能性もありますが、手術せずに自分のありのままを受け入れていらっしゃる方も存在します。10歳と言えばまだ決断できる年齢ではありません。

しかし、親が決めつけてしまうのではなく本人の意志を尊重できるような猶予を与えてあげるべきだと感じます。また、小耳症の手術をおこなう病院の選別も慎重に選択するべきでしょう。

安易に決めてしまうと、バランスの悪い位置や考えても見なかった外観の耳が形成されてしまい、耳の形成の作り直しをされている方も存在します。どこの大学病院でも、どこの形成外科でも同じというわけではありません。

小耳症についてわからないことがあれば、うやむやにせずわかるまで確認し、手術のやり方など全て把握するくらいの知識を持たなければなりません。

スコットランドにあるエディンバラの王立こども病院では、小耳症による新しい技術を見つけようと模索し、2014年には3D画像処理による耳介の作成をおこなっています。

また、人の脂肪から幹細胞を分離することに成功したエディンバラ大学の再生医療センターと共同研究が開始されています。精製された幹細胞は、10,000個のFDA承認を受けた高分子に対して検査が行われ、高分子表面で軟骨を生成するよう細胞に働きかけることができるようになっています。

この研究が成功すれば、肋軟骨の採取を行わずとも、耳介形成手術がおこなえるようになります。 今後小耳症に対する研究がもっと進み、少しでも多くの方の治療ができるようになることを、切に願います。



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