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猛暑が続く夏季は、夏バテによって口内炎や手足口病が多いことと思います。
昔から「口内炎が出来たら胃が荒れている証拠」といったことも言われていますが、胃も体も休ませましょうというメッセージであることは間違いありません。
特に手足口病の原因はエンテロウイルスですが、その血清型(原因ウイルス)の種類が数多くあります。同じエンテロウイルス属のウイルスには4月まで予防接種でおなじみだったポリオウイルスもいます。
エンテロウイルス感染症は一般に「軽症」というイメージがあり、確かに手足口病やヘルパンギーナ(咽喉痛+口内炎)の子供たちも「元気は元気」です。保育園・幼稚園では、手足口病でも、ヘルパンギーナでも、「元気なら通園可能」という施設が多くなりました。
しかし、エンテロウイルス感染症の発病率は10%程度です。
麻痺性ポリオの発病率は1%程度です。「かかっても滅多に発病しない病気」ということです。
逆に、手足口病を発病したら、その10人に1人に選ばれたということですから、どんなに元気そうに見えても、かなり体力や抵抗力が低下しているサインです。
よって、手足口病は、本来、休息休養が必要であることを知らせている病気です。
歌のような「疲れを知らない子供」はいないと思った方が良いように感じます。特に夏は。
また、エンテロウイルスの主たる感染の場は腸管です。
腸管で一次増殖した後、血液中に入り、最終的に、血液から皮膚や粘膜に出て来て、口内炎や手足の水疱疹を作ります。
したがって、便秘の子供では症状が強くなる傾向があります(高熱・嘔吐)。
便秘でウイルスを思い切り増やして、血液に侵入させると髄膜炎・脳炎など重症合併症のリスクも高まります。やはり、普段の生活習慣で、鼻副鼻腔炎や便秘の予防が出来ているかどうかが大切になります。
成人は、既往があることが多いのですが、血清型の異なるウイルスに感染したり、5〜10年毎に流行る変異を遂げたウイルスに感染すると、免疫がないので発病します。
保護者が子供からもらうケースは多々あります。しかも、家族内感染は濃厚接触のため、一般に保護者の方が重症化します。
さて、腸で増殖したウイルスは3週間程度、便と共に排泄され続けます。
手足口病は「治っても」しばらく「感染源であり続ける」ことになります。おむつをした乳幼児の多い保育園で、手足口病が流行しやすく、一度流行が始まると、延々と続くのはこのためです。
それなら、「元気なのに」「病気の最中だけ休ませても意味がない」という話になってしまい、手足口病は多くの施設で出席停止の病気から外れました。ここでも、病気や症状の本来のメッセージをどう受け止めるかとう課題を残しています。
確かに仕事のある保護者の立場も考慮しなければいけないということは理解できますが、 少なくとも、「手足口病はどんどん園に預ければ良い病気」という解釈になるのは好ましくありません。保護者にも、園側にも、「手足口病になった子供の抵抗力や予備力は低下している」という認識が必要です。
口内炎にしても、手足口病にしても、一見、元気であろうと、「抵抗力や予備力が不足しているからこそ発病した」「疲れているから、休みなさい、というメッセージだ」と受け止めてもらいたいと思います。
■この記事の作者
医)操南ファミリークリニック / 横山俊之 院長
医学博士/日本小児科学会専門医/日本小児感染症学会会員
日本臨床ウイルス学会会員/国際サイトカイン会議会員
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